木内貴志作品集TOP > キウチアニュアル2000・言葉と美術 > 「絶対反対」「断固反対」



2000年 キャンバスにアクリル、木材。ビニールテープ それぞれ1090mm×650mm

木内貴志による作品解説
僕は小さいとき、よく親に「メーデー」や「デモ」に連れていかれました。今でもそれは「楽しい」思いでです。保育園や学校を休めたり、交通費として500円もらえたり。とくにメーデーでは各々凝った看板やコスプレや(例えばうちの母親は看護婦なので、まわりは皆、職場の格好としてナース姿)オリジナル神輿(例えば、悪そうな顔した中曽根首相がトマホークに股がってるとか)が集合して、ラストはみんなで「ワッショイ!ワッショイ!」と走り回るんです。それと、「拡声器」。「軍事費を削って住宅を建てろー!」とか「戦車で家を潰すなー」とか、たまに子供の僕とかにも言わせてくれたりして、言葉の意味はわからんけども、楽しかったです。「シュプレヒコール!」とか。
 そんな僕だから、学生運動に密かに憧れた時期もあって、何となく、「反体制」というものに強く惹かれたりする人になりました。しかし、実際は特に事を起こす事も、運動に参加する事もない、ノンポリになっている原因の一つは、「反対」と叫ぶ自分になんとなく矛盾を感じたりするからでしょうか。実のところは、賛成でも反対でもない、極めて曖昧な所にいる事が多い現状です。
 そんな中、ぼーっと京阪電車から外を眺めてるとき、思いついた作品です。
形式としては、プラカード的なものに見えると思いますが、これはあくまで「持つとこ付き絵画」であり、シェイプドキャンバスの発展形であり、フランク・ステラと同じ問題意識の上に成り立つものである…とか言ったら殴られるやろか。
(2000年当時の展覧会カタログ「読んだら興醒めするかも知れない『作品解説』説明的美術の説明」より)

出品展覧会

キウチアニュアル2000・言葉と美術
「キウチアニュアル2000・言葉と美術」 2000年9月10日(日)〜10月15日(日) 夢創館(兵庫県)